• 第10話 あのときの未来
    大学に進学し、東京でひとり暮らしをはじめた18歳の春、私は友達と一緒に渋谷のファッションビルで、生まれて初めて「占い」というものを体験しました。よく当たるとネットでも評判の占い師でした。ところがそこで見えた私の未来は…。
  • 第9話 愛は海に
    彼と出会ったのは、ハワイの海でのことでした。お互いバツイチ同士で、子どもはもう家を出ていたから、恋をはじめるのに障害はありませんでいた。彼は海を愛する男。付き合いはじめて五年が経ったある日、彼に…。
  • 第8話 ミシン
    子どものときの私の服は、半分くらい、母の手作りでした。手作りの洋服というとチープに聞こえるかもしれないけれど、母の作る服は素人っぽくなくて、そのへんのスーパーで安売りされているものよりも、ずっと高級に見えました。私は母の作ってくれる服が誇らしかった。私の夢は、次第にファッションの世界へと向かっていって…。
  • 第7話 ラーメン食べたい
    親父の死は突然だった。本人もまわりも身体の変化に気づかず、ある日突然の大動脈瘤破裂。還暦を過ぎてから、親父は酒も煙草もやめていたが、ひとつだけ、どうしてもやめられないものがあった。ラーメン。親父はとにかくラーメンが大好きで…。
  • 第6話 じじいのへそくり
    じじいが死んだ。九十まで生きた、俺の父親だ。じじいはとにかく、ケチな男だった。俺はそんなじじいが、ひどく人情味のない、つまらない人間に思えた。葬式が終わってから、ひとり暮らしをしていたじじいの安アパートの部屋を息子とふたりで片づけていると、じじいの預金通帳が出てきて…
  • 第5話 犬の名前
    子どものできなかった私たち夫婦は、かわりに犬を溺愛していた。可愛くて仕方なかった。しかしその子が、去年の秋、老衰で死んでしまった。ペットロスが原因で離婚した、なんて言ったら笑われてしまうかもしれない。でも、本当に私たちは離婚した…。
  • 第4話 手土産
    僕の父と母は再婚同士だった。父がバツ2で、母がバツイチ。結婚するときは再婚同士ということで、色々と厄介な問題があったらしい。でも、とにもかくにも父と母はあるとき出会い、そして結婚して、その結果、僕が生まれた。自分の親戚の顔をまったく知らずに大人になった僕は…。
  • 第3話 花
    彼女と別れたのは、もう五年も前のことになる。仕事で知り合い、二年ほど付き合った。取引先の担当者だった。互いに、家族があった。俺たちは不倫の関係だった。先にさよならを切り出したのは、彼女の方だった。その彼女が昨日…。(2020.5.5 OA)
  • 第2話 ドレス
    私がお母さんとのことで思い出すのは、昔、ふたりで暮らしていた狭い部屋だ。六畳と四畳半の二間だけの古くてぼろいアパート。お父さんはいなかった。小学生の私は毎晩ひとりで、遅くまでお母さんが帰ってくるのを待っていた。部屋の長押にはいつも、お母さんの赤いドレスがかかっていて…(2020.4.21 OA)
  • 第1話 さくら
    重い病気を抱えた人が、「来年の桜までは頑張ろう」なんて言う。よくドラマに出てくるようなありきたりの台詞だけれど、でも私の父も、入院中、病室の窓を見上げてそう呟いた。これから親孝行を…。そう思っていた矢先の病気だった。そして父は、桜のつぼみが春を待つうちに亡くなった…(2020.4.7 OA)

さよならの日に